旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

おはぎとお彼岸

みなさんこんにちは尚真です。先日の台風13号で犠牲になった方のご冥福をお祈りすると共に、浸水や土砂災害などで住むところを失われた方々、生活に不便を強いられている方々にお見舞い申し上げます。

 

また厳しい残暑の中、復興作業に従事されている方々には、どうかご無理をなさらずに体調に留意して作業に取り組んで頂きたいと思います。

 

今年の気温は今後も平年より高い傾向になるという発表がなされています。9月に入ってからも最高気温が30℃を超えるような、厳しい暑さの日が続いています。

 

最高気温が30℃を超える日は「真夏日」と呼ばれていますが、私が子どもの頃の記憶では、私の住む茨城では最高気温が30℃以上になるのは8月前半からお盆までの間に数日あった程度かなという感じです。

 

しかし今どきの真夏の実態は35℃以上の「猛暑日」が連日続きます。夏の一番暑いころに「真夏日」と言われればしっくり来ますが、9月になって少し暑さが弱まってからが「真夏日」では、何だか真夏とは名ばかりのようで虚しく聞こえます。

 

しかし関東地方では今日の(記事の投稿は9/20です)雨を皮切りに少しずつ暑さも落ち着いてくるようです。暑さ寒さも彼岸までとは本当に良く言ったものです。そう今年の秋彼岸の入りの日は本日9/20(水)なのであります。

 

俊宏さんがお盆の時期の投稿で、お盆の風習が薄れてきていると記事の中で触れていましたがお彼岸についても同じことが言えるのではないでしょうか。

 

このブログの読者の方はそんなことは無いと思いますが、お盆と違ってお彼岸休みなどはありませんので、もしかしたら世の中にはお彼岸をご存じない方もいらっしゃるかも知れません。

 

お彼岸は春分の日秋分の日を中日としてそれぞれ前後3日間、計7日間を指します。春分の日秋分の日は昼と夜の時間が同じということで、私達の世界「此岸」とご先祖様の暮らすあちら側の世界「彼岸」が最も近くなる日になります。それなのでお彼岸中にはお墓参りやお寺で行われる法要に行くのですね。

 

余談ですが、今年のお彼岸の入りは9/20と書きましたが、実は春分の日秋分の日はそれぞれ年によって日にちが異なるという事をご存じでしたか?ですのでお彼岸の期間も年によって異なると言う事になります。

 

また「彼岸」とは悟りの境地の事ですので、六波羅蜜と呼ばれる修行を行う期間とされています。7日間のうちの中日を除いた6日間で、六波羅蜜の「布施」、「持戒」、「忍辱」、「精進」、「禅定」、「智慧」を一つずつ実践する修行になります。

 

六波羅蜜は私たち自身が悟りの境地に近づけるだけではなく、周りの人達も幸せになる行いばかりになります。本来ならいつでも実践していきたいところですが、現実はなかなか難しく私も実践できているとは言えません。

 

特に私か実践出来ていないものは、嫌な事や困難な事があっても、感情的にならずに我慢する「忍辱」でしょうか。嫌な顔や態度をすると、周りの人も嫌な気持ちにさせてしまいます。大いに反省しなくてはなりません。

 

この秋のお彼岸を機に、私も心を入れ替え、六波羅蜜を実践していこうと思います。皆さんもこれを良い機会として六波羅蜜に挑戦して頂けると、私の「忍辱」が足りていないことをカミングアウトした甲斐があります。

 

さて私の子どもの頃のお彼岸の思い出では、よくぼた餅やおはぎを檀家さんからいただいたものです。しかし最近はそんなこともめっきり無くなってしまいました。

 

地域や作り方によってさまざまな呼ばれ方があるようですが、春のお彼岸に食べるのが「ぼた餅」、秋のお彼岸に食べるのが「おはぎ」、それぞれ花の咲く時期に合わせて呼ばれています。

 

このように季節の花の名前で呼ぶあたりは日本らしい奥ゆかしさを感じます。しかし最近は、近所のスーパーでも一年中「おはぎ」として販売されていますし、ぼた餅とおはぎの区別が無くなってきているような気がします。

 

お彼岸の風習だけではなく、「ぼた餅」、「おはぎ」といった日本らしさも一緒に次の世代に伝えていきたいと思う彼岸の入りとなりました。

 

萩の花も咲いてきました