旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

共に歩む

こんにちは。拓光です。花粉症の症状が出始め、そろそろ季節が冬から春へと移っていくのだなと思う今日この頃です。

 

令和6年1月1日に発生した能登半島地震で被害にあわれました全ての皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

まだまだ予断を許さない状況が続いており、その様な中ではありますが現地のボランティア団体より呼びかけがあり、微力ながら私も先日、山梨県寺院僧侶5名で炊き出しの支援に行って参りました。

 

石川県内に入ると報道で知る様子と、実際に現地に足を運んで感じ取る印象の差を大きく感じました。それは被害状況に驚くことは勿論のこと、各地施設の窓に「支援をありがとう」、「一緒に頑張りましょう」などの感謝の紙が貼られていて県内の人々の震災には負けないという気持ちを強く感じました。

 

活動期間は2日間という短い日数であり、ボランティアとして私は何が出来たのだろうかという強い疑問が残り、ボランティアという難しさを感じました。また地震発生から数日のうちに現地入りしていればなにかしら違うものを感じたのではないかと思いました。

しかし発災地域を自分の目で確かめるということができたこと、また避難を余儀なくされている方、ボランティア参加者よりお話を伺うことが出来たことは実りのあるものとなりました。この経験を無駄にしないよう情報共有を徹底し、今後の活動にいかしたいと思います。

最後に「四摂法」の教えを紹介して終えたいと思います。

曹洞宗の教えを中国から日本に伝えられた道元禅師様は、四摂法という4つの教えを残されています。四摂法とは布施・愛語・利行・同事です。

布施とは他の人に自分の財力、能力を惜しみなく分け与えることです。

寄付をする、聞き上手の方が友人の話を聞いて不安な気持ちを取り除くなどです。
愛語とは「ありがとう」などの愛情のこもった言葉を語り掛けること。言葉の布施です。

利行とは見返りを求めない、人の為になる行いをすること。行いの布施です。

ボランティア活動をする、電車で辛そうにしている方に座席を譲ることなども当てはまります。

同事とは相手が喜んだら同じように喜び、悲しんだら同じように悲しむことです。心の布施です。たとえ相手の気持ち(悩み)がわからなくても隣にいて寄り添って共に悩むことも同事に含まれます。

この四摂法の教えをわかりやすくまとめますと、(同事)相手の立場に立って、(利行)良い行いを実践し、(愛語)良い言葉を語って(布施)分け与える生活を送ることをいいます。

 

この度の能登半島地震だけでなく、世界各地で頻発して起こる自然災害や、戦争などの混乱した世界情勢や、様々なウイルスの蔓延などの影響により不安な気持ちになってしまうこともあるかと思います。

しかしこのような時だからこそ、四摂法の教えの様に、愛のある言葉を掛け、思いやりのある行動をとることの大切さを深く心に刻みたいものです。