旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

暑さ寒さも彼岸まで

 皆さんこんにちは尚真です。前回の投稿の頃は梅雨がなかなか明けない等と記していましたが、梅雨明けの後は暑い日が長く続いておりました。コロナ自粛で運動不足になっている方や、長い時間マスクを付ける必要のある方には、今年の夏は特別に暑さが応える夏だったことでしょう。

 

 しかし先日の台風の接近に伴い、冷たい空気を一緒に運んで来たのか、だいぶ日中は過ごしやすくなりました。朝晩は少し肌寒くさえ感じます。『暑さ寒さも彼岸まで』と昔から言いますが、昔の人はよく言ったもので毎年その通りになるので驚かされるばかりです。

 

 コロナの影響で外出する機会がめっきり減ってしまい、最近の休日の楽しみはもっぱら愛犬の散歩に行く事です。田舎に暮らす最大の利点は自然に溢れているという事、のどかな田んぼ道や、木立に囲まれた林道など散歩コースには事欠きません。

 

 どんよりとした雲の多い日には、田んぼの上を手を伸ばせば届きそうな高さで、ツバメが旋回しながら飛んでいく様を良く目にします。『ツバメが低く飛ぶと雨が降る』と昔から言いますが、これは湿度が高い為に餌となる小虫が普段より地面の近くを飛ぶ事で、ツバメも低く飛ぶそうです。

 

 また地域によって様々な言われ方をしていると思いますが、『○○山に雲が掛かると雨が降る』とか『○○湖に霧が出ると雨が降る』とか、雨を予想する古くからの言い伝えがどの地域にも必ずあると思います。

 

 昔は農業を生業としている人が当然今より多かったでしょうし、建物も現代より簡素で、車も無い時代には、今よりも雨が降る影響が断然大きかった事と思います。私たちがスマホの天気予報アプリでポチポチと調べるように、昔の人は周囲の景色や生き物を見て天気を調べていたのですね。

 

 天気にまつわるものだけでは無く、例えば『食べてすぐ横になると牛になる』とか、『夜爪を切ると親の死に目に会えない』なども昔から良く言う言葉だと思います。『夜爪を切ると・・・』は妙に信じ込んでいて、子供の頃は必ず昼間に切るようにしていました。これは昔の行灯の灯りが暗かった為に、夜切ってはいけないと言われていたものだそうです。

 

 妻にも何か思いつくものがあるか聞いてみたところ、『秋茄子は嫁に食わすな』が真っ先に出てきました。姑である私の母に普段いじめられているかのようで、それを聞いて少し心配になりましが、お嫁さんを気遣う、『茄子は美味しいけど毒性があるので食べ過ぎないように注意しなさい』のような意味もあるそうです。

 

 このように皆さんの生活に浸透している古くからの言い伝えやことわざも、先人の教えのような物だと思います。私たち僧侶も、お釈迦様の御教えや道元禅師を始めとしたお祖師様方の御教えを学び、実践し、皆様にお伝えするのがあるべき姿であり、それを目指して日々精進して生活しています。

 

 そう聞くと様々な事を我慢したり、無理をして生活しないといけないのではと敬遠してしまう人もいるかもしれません。しかし、仏様の御教えはよりよく生きるための智慧であり、苦労をする為の教えでは全くありません。皆さんの暮らしがより良いものになるように、仏様の御教えがもっと皆さんの生活の中に浸透していくように、今後より精進していこうと思います。

 

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すっかり秋らしくなって来ました