旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

大きくなったら何になりたい?

こんにちは。拓光です。

三月に入り日増しに暖かくなってきました。本格的な春の訪れももうすぐですね。

 

突然ですが、皆さんの幼少期の頃の将来の夢は何でしたか。

 

というのも娘から「パパは大きくなったら何になりたい?」と一日に数回は聞かれます。その可愛い質問に返答する間もなく娘は、「私はキュアスカイ(ヒーローアニメの主人公)か赤ちゃんが産まれる病院の看護師さん」と言います。

 

ある時横浜に住んでいる私の両親とテレビ通話をしている時に、隣にいた娘からいつもの質問が飛んできました。

「ねぇねぇ、パパは大きくなったら何になりたいの?」

 

いつもの質問に対し「ウルトラマンかな」と適当に返しながら、通話先の両親に「毎日こう聞いてくるから困っているだよね。初めの頃は真面目に、将来は仏様みたいになりたいと返していたのだけど、難しい顔してなんじゃそりゃと言われるし。子どもには何と返事をするのが正解なのかね」と伝えると

 

通話先で両親は笑いながら「遺伝子ってすごいね。あんたも幼稚園生くらいの時は毎日大きくなったら何になりたい?と同じこと毎日聞いてきて私達や、特におばあちゃんを困らせていたよ」と思いも寄らない言葉が返ってきました。

 

「そう言われてみると、今の娘のように自分自身もおばあちゃんを困らせていた記憶があるかも。その時におばあちゃんは自分になんて返事をしてくれていたかをしっかりと覚えておけばよかったな」と私が母に伝えると、母はしっかりと覚えていて

 

「ばあちゃんは歳を取っているから、今から何になりたいとかはないんだ。ごめんね。でも拓光にいつまでも覚えておいてもらえるような人になりたいな」って言っていたよと教えてくれました。

 

その時私は、かつての祖母の返事から「子どもから将来何になりたいかと聞かれた時の上手な返事」と「仏様になるとはどういうことをいうのか」の二つを教えられ、気付かされました。

仏様になるとは、いつまでもその人の心の中にいて励まし、時に叱ってくれる、そんな心の支えとなっている方のことをいうのではないかと思います。

 

後日、娘から「パパは大きくなったら何になりたい?」と聞かれた際に

 

「パパは○○(娘の名前)にいつまでも覚えておいてもらえるような人になりたいな」と伝えると、娘はニコッと笑い「パパすごいね」と返してくれました。今はもう祖母の元気な姿を見ることも出来ないし、何も語り掛けてはくれないけれども、今も祖母と共に生きていることを実感し、これからもこういったことを感じられるような私でありたいと思います。