旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

梅雨とアジサイ

 こんにちは尚真です。私の住む関東地方では梅雨の真っただ中で、ジメジメしてどんよりした日が続いています。私は太陽大好き人間なので早く梅雨が終わって夏にならないかなと思う今日この頃です。

 

 しかし雨が降らないと農作物への影響や水不足の心配、また空梅雨の年は冷夏になる事も多いですので、もう暫く梅雨空とお付き合いですね。梅雨には梅雨の楽しみがあるというものです。それまで山登りも少し休憩です。

 

 梅雨の楽しみで最初に思い浮かぶ物は、植物好きの私としてはやはりアジサイです。アジサイは梅雨のこの時期に見頃を迎え、雨の風景との相性バッチリです。梅雨の時期の代名詞とも言える存在だと思います。

 

 アジサイと言うと皆さんはボール状の形をした花を想像するかと思いますが、実際は花の形によって何種類かの品種があります。ですがどの品種にも共通して大ぶりの花で見応えある立派な花を持っています。

 

 小さな花が集まって大ぶりの花のように見えていますが、正確には小さな花のように見えている部分は、実際は花では無いと言う事をご存じでしょうか。詳しい事はお休みの日にご自分で傘を持って出かけて、良く観察して頂けると幸いです。

 

 先日、私も近郊のアジサイの名所とされるお寺にアジサイ見物に行ってきました。そのお寺は安産祈願で昔から有名との事で、私の母も私を出産する前にお参りに行ったそうです。私たちが見物に行った日もまさに梅雨空と言ったしとしと雨の降る天候で、アジサイを見るにはもってこいの日でした。

 

f:id:tabisuruzensou:20190710170021j:plain

アジサイには雨が似合います

 

 アジサイと言えば、昔九州を一人旅をした時にあるお寺を訪れた時の事を思い出します。当時は私がまだ僧侶になる前の事でしたが、お寺での社会活動に興味を持っていてました。そのお寺はアジサイを近所の方々と挿し木して育てる活動を行っており、いい機会と思い訪れてみる事にしました。

 

 そのお寺は奥深い渓谷の山の上にあり、断崖絶壁にあるようなお寺です。お参りに行くためにはスキー場にあるような一人乗りのリフトに乗って登って行きました。リフトを降りても、岩石が長い雨風で浸食されて出来た穴を潜り抜けたりしてやっと辿り着いたのを覚えています。

 

 しかし昨年、九州地方を襲った大雨によって、そのお寺がある町も土砂災害の被害にあってしまいました。そのように一言で「雨」と言っても恵みの雨となったり、私達に自然の脅威をもたらしたりと様々な側面を持っています。

 

 科学技術が進んだ現代において気象予報の精度や速度は発展していますが、そのような異常気象の発生を防ぐような技術はまだ出来そうにありません。そう考えるとやはり私達人間は自然界の中では特別な存在なのでは無く、自然の中で共に生きていると言う事を改めて思い知らされます。

 

 私たちは普段の生活でも自分を取り巻く周囲の人々に迷惑を掛けないよう配慮して暮らしている事と思います。人間だけに限らず、周囲の自然や動物にも目を向け配慮した生活を送りたいと思う梅雨の一日でした。