旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

三日坊主

みなさんこんにちは。慧州です。

最近は寒さが厳しくなり、布団が恋しい季節になりました。

 

突然ですが、みなさんは「三日坊主」と言われたことはありますか?

「飽きやすく物事が長く続かないこと」を揶揄したことわざですが、その由来は僧侶の修行がとても厳しく、三日と耐えられない者が多かったことだそうです。

実はかくいう私は恥ずかしながら三日坊主の常習犯で、毎日の運動や読書の習慣など色々チャレンジするものの長続きしません。

特に長年私を悩ませることがあります。

それは早起きです。

 

前日に「明日こそ起きるぞ」と意気込んではみるものの、ついつい二度寝してしまいます。

そして、ようやく起きたと思ったら大慌てで身支度を済ませ、時には周りに迷惑をかけることもありました。

「早起きは三文の徳」とは分かってはいますが、なかなか継続できません。

 

修行時代も同様でした。毎朝三時半に起床するため常に寝不足で、寝る前から果たして時間通りに起きられるか不安で仕方がありませんでした。

そして、その不安がかえって寝られない原因にもなっていました。

 

ある日、永平寺の近くを流れる川を清掃する機会がありました。

全身を使って無我夢中で掃除をしたせいでくたくたになっていた私は、次の日はとても早起きできそうもありませんでした。

「もうどうにでもなれ」

そう思いながら布団に入るやいなや泥のように眠りました。

 

そして、翌朝。

驚くことに時間通り起きられたのです。

あんなに疲れていたのになぜ起きられたのか。

毎日の生活リズムを体が覚えていたからかもしれませんが、それ以上に「朝早く起きなければいけない」という思いを諦めて早く寝たことが良かったのだと思います。

 

曹洞宗の両祖である瑩山禅師は次のような言葉を残されています。

 

「臥するには臥し、起きるには起きる」『信心銘拈提』

 

「寝るときは寝て、起きるときは起きなさい」

ごく当たり前のことですが、果たして私は実行できているか。

寝なければならないのに、なんとなくスマホをいじっては夜更かしをしてしまったり、朝起きても「あと10分・・・・」とついゴロゴロしてしまったり。

まさに寝ることに専念していないのです。

 

今、私ができること。

それはどんな状況であっても置かれたその場を受け止めて、ただ誠心誠意過ごすことではないでしょうか。

早起きだけに限った話ではなく、人生全てにおいて同じ事が言えます。

たとえ失敗してもまたチャレンジすればいいのです。

自らを不安で縛るのではなく、今できることを着実に進めることが、長続きの秘訣なのかもしれません。