旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

くも

こんにちは。哲真です。

 

暖かい日や寒い日など気候に変動があります。皆様、健康には気を付けてください。

 

梅雨に入ると紫陽花が咲き、雨に濡れている境内に飾り付けをしてくれています。

f:id:tabisuruzensou:20200701174731j:plain

それと同時に、クモの巣があちらこちらに大量にできる時期でもあります。できるだけ掃除はするのですが、どうしてもすぐに別な場所にできてしまいます。

 

クモは、「害虫を食べてくれるので殺してはいけない」「朝のクモは縁起が良い」などと言われます。それを考えるとクモの巣を掃除することはどうなのかと考えてしまいます。

 

そんなクモの巣の掃除をしているといつも「蜘蛛の糸」を思い出します。芥川龍之介が書いた児童向けの短編小説です。

 

人を殺したり家に火をつけたり、いろいろと悪事を働いた大泥棒の犍陀多(かんだた)が、たった一つ善いことをしました。それは、林の中で見つけたクモを殺そうとしたのですが、命あるものだから殺してはかわいそうだと思い返し助けてやったのです。

犍陀多は死んで地獄に落ちたのですが、御釈迦様は一つだけ善いことをした犍陀多を、蜘蛛の糸で地獄から救い出してやろうとします。

結果的には、その蜘蛛の糸で助かりそうになるのですが、自分だけが地獄から抜け出そうとする無慈悲な心を出し、糸がきれて元の地獄へ落ちてしまうお話です。

 

殺生はやはり良いことではなく、生きる物を大事にすること、それに自分の事だけを考えるのではなく、みんなの事を考えようという事が書かれているのだと思います。

 

今回のコロナ禍でも、この県や地域では、コロナ感染者がいないからマスクをしなくても大丈夫だとしていない方を見かけますが、マスクをするのは自分がかからない為だけではなく、もしかしたら発症してはいないがウイルスを持っている可能性があるので、みんなにうつさないようにマスクをする必要があります。

 

自分勝手な行動は自分を不幸にします。自分を幸せにしてくれるのは周りの方々です。ですからみんなを幸せにすればあなたにも幸せになれるということを忘れずに日々過ごしていきましょう。

 

f:id:tabisuruzensou:20200701174830j:plain

クモの巣でいろいろな事を考えさせられた一日でした。