旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

お疲れ様『平成』、宜しくね『令和』

 皆さんこんにちは尚真です。寒い冬が明け、桜に続いて色とりどりの花々が春の訪れを知らせてくれています。木々の芽も色づき始める新緑のこの時期が、私は一年で一番好きです。新緑の息吹を感じるこの季節は新たな活力が湧いて来る気がします。

 

そんな新緑の息吹に合わせるかのように、平成も残すところあと2週間となりました。新元号の『令和』も発表になり、世間では『令和』グッズを早速販売したり、テレビやネット記事でも平成時代を振り返る企画をよく目にしたりと改元ムードが日増しに高まって来ましたね。来月からは『令和元年』ですので間違わないように気を付けたいですね。

 

 私個人としては平成最後の記事の更新ですので、平成最後の記念に、改元について書き残したいと思います。今回の改元は今までとは異なる点がいくつかあり、まさに新しい時代を反映する出来事だと個人的に感じています。

 

 一つ目は約200年ぶりの生前退位だと言う点です。私は昭和生まれですので昭和から平成に元号が変わる瞬間も経験していました。まだ幼かったのであまり記憶に残っていませんが、昭和天皇崩御されて平成天皇が即位された訳ですから、改元は悲しいニュースとして報道されていたように思います。

 

 しかし今回の平成から令和への改元は、祝福ムードに包まれてとてもポジティブな出来事に捉えられており、これは生前退位ならではのことだと思います。

 

 また天皇陛下生前退位は、まるで会社員の皆さんが定年前に早期退職し、趣味や家族の時間などを増やせるよう第二の人生をスタートさせる姿と重なる部分があるように感じます。『働く』ことへの価値観が変化している現代において、天皇陛下自らが『働き方改革』を実践しているようですね。

 

 二つ目は新元号『令和』の出典元についてです。現在の『平成』まで247の元号があるそうですが、その全ての出典元は中国の書物でした。そもそも元号という制度も中国由来のものですし、元号以外にも私たちに関わりのあるもので仏教や漢字も中国から伝わっていますね(そういえば私たち日本人のルーツも中国大陸ですね)。

 

 ですので、これまでの元号は中国の書物からの引用でしたが、今回の元号『令和』は初めて日本の書物からの引用となりました。出典元は昔歴史の授業で習った『万葉集』です。日本の元号ですから日本の書物からの出典は非常に良い事だと思いますし、これも新しい時代を反映するトピックスだと思います。

 

 以前から女性の皇位継承の話題もありましたが、今回の改元に伴って日本の皇室は少し変革期を迎えているように感じます。変わらぬ伝統と時代のニーズに合わせた改革を行って、英国王室のように『開かれた皇室』となるよう期待したいです。

 

 私たち僧侶や寺院も同じことが言えると思います。仏様の教えは不変的な真理を説かれていますが、それを実践する私たちが生きる社会は時代と共に移ろいで行きます。変わることない部分と変わらなきゃいけない部分を良く見極め、来月からくる『令和』の時代を生きていきたいと思います。

 

 また残り2週間の『平成』も、これまで30年の感謝の気持ちを込めて、最後まで後悔の無い様に過ごしたいと思います。