旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

姿を写す

皆様こんにちは!
光彬と申します
よろしくお願いいたしますm(__)m

数十年ぶりに6月中に梅雨が明け、全国で驚きの声が上がったと思えば、大雨、雹、干ばつと、国内の
違う地域で違う気候が猛威を振るっています。
災害に遭った地域の方には心からお見舞いを
申し上げます。
また、無事でいらっしゃる方もどうか
これから来る猛暑の夏、不規則な気候変動による
災害等にはご注意してお過ごしください。


さて、今回は当山で写経を行った時の話です。
私が住まわせていただいている長松院では
希望者からお電話をいただければ
写経体験を開いております。

先月のことですが、ある女性から
お電話をいただき、写経を行ってみたいと
言われました。初の写経体験希望でしたので、
少し嬉しながらも緊張しながら受け答えをし、
写経をする日にちが決まりました。
当日はお2人でお越しになりました。

時間前に本堂に入ってきて、緊張した面持ちで
挨拶をし、軽く世間話をしてから
写経を開始しました。
畳に座布団を敷き姿勢と呼吸を整えます。
写経用紙と筆を正面に置き、合掌三拝してから
摩訶般若波羅蜜多心経をお唱えします。
四弘誓願、南無釈迦牟尼仏と続けてお唱えし
ゆっくり筆を持ちます。

あとは時間の限り、ゆっくりお経をなぞりながら
写していただきました。
暫くすると、正座のせいか足がしびれて姿勢が
崩れてきました。大変そうでしたので
坐蒲(ざふ)と呼ばれる坐禅で用いる黒い
クッションをおしりに敷き、再度姿勢を
整えたら書くのを再開していただきました。


1時間半掛からないくらいでしょうか。
お2人とも書き終えて、納経していただきましたが、
終わった後のお2人の表情はどこか達成感と共に
安堵したような雰囲気でした。

無事に写経体験を終えられ、楽しそうに
帰られるお2人を見て、私も安堵しました。
そう思ったのには理由がありました。
書かれた写経用紙を拝見しましたら、
とても心のこもった字であったように
見えたからです。

写経は世間的には難しいというイメージは
ないように感じます。しかし、
般若心経であっても、262文字のこのお経を
初めから終わりまで集中して書くことは
とても大変なことなのです。私は、初めて
写経をする方が、集中を切らさず
字の乱れなく書ききることなど
無理だろうと勝手に思っていましたが、
その予想は裏切られたのです。

書いている時のお2人の姿勢を見て、
私は身心一如の教えを目の当たりにしました。
字の通り、体と心は1つの如くに
ということです。
姿勢、呼吸が整っているから心を表す字が乱れていない。又、心を表す字が乱れないから姿勢と呼吸も乱れることがない。そういう姿を感じました。


今回、写経を主催した私が、参加された方から
教わったような気持ちでした。
また写経のお申し込みをいただけたときには
私自身が1から自身を見つめ直し
取組んでいこうと思います。