旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

気づかせてくれる師匠の存在

みなさん、こんにちは。向月です。

1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」と言われますが、

早いもので今年も3月になってしまいました。

私は昨年末から2月半ばごろまで仕事や引越しなどでバタバタとしておりました。

本当に2月は「逃げる」ように終わってしまいました。

 

最近の私は毎日前日の夜に次の日のスケジュールを決めて動いています。

何時に起きて、何時から何時までに洗面を済ませ、何時までに準備して家を出るという具合に細かく予定を決めています。

その予定が思わぬ急用が入ってしまい、やりたかったことの半分もできない日が続くとイライラとしてしまうことがあります。

 

ある時は「今日は、引越しのために一日片付けをしよう!」と決めていたのに、急に予定が入ってしまい外出しなければいけなくなったり。

またある時は、待ち合わせ場所に予定時間になっても相手が日にちを間違えていて来なかったり。

そんな時は「この時間があれば他のことができたのに!!」や「時間を返してくれ~」と思ってしまいます。

だれにでもよくある事なのですが、心に余裕がなくなってしまうと途端に周りが見えなくなってしまいます。

 

こんな日が続いた時、師匠から手1通の手紙が届きました。

手紙といっても、封筒の中には1冊のパンフレットが入っているだけのものでした。

お寺の坐禅会でお配りする、初心者向けの『坐禅のいろは』というものです。

そのパンフレット以外は何も入っていません。

しかし、このパンフレットを見た途端、ハッと思いました。

大きな声で怒鳴られた感じがしました。

ここ最近、時間に追われていて自分を見失い他人のせいにしていたと。

周囲に合わせたり、他人と比較したり、そんなことばかりしていたと気づかされました。

 

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この『坐禅のいろは』というパンフレットは、初めて坐禅をする方にお配りしているものです。お作法や坐禅中の姿勢、呼吸などが絵付きで紹介してあります。

初心者向けのパンフレットです。

師匠はこのパンフレット1冊だけ送ってきて、私に何かを気づかせようとしたのです。

 

周囲に振り回されて、自分を見失っている私に「この愚か者が!!修行が足りん!!坐禅の心を思い出せ!!」と言われているようでした。

口には出さず、言葉でも書かず、パンフレット1冊で気づかせる師匠の力(テクニック?)に感動してしまいました。

まだまだ、師匠を超えることなんてできないんだと思い知らされた出来事でした。

 

珍しく温かかった2月も終わり、なお温かい3月です。今年は足早に春が訪れそうですね。

穏やかな心で生きていきたいと思います。

  

さて別の旅では「2択で迷ったときどうするか」についてある方と話したのですが、その話はまた今度。