旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

生きるとは いのちを頂くこと

おはようございます。拓光です。

連日暑い日が続いております。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

先日、遊説中であった安倍晋三元首相が銃撃され命を奪われるという悲しい事件が起きました。

この事件で犠牲になられた安倍元総理大臣のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。

 

仏教には守るべき戒律がいくつかあります。その中の一つに不殺生戒(ふせっしょうかい)という戒律があります。

不殺生戒は読んだ字の通り「人の命を奪ってはいけない」という教えです。

 

仏教では御縁を大切にします。私達一人ひとりは沢山の繋がり合いがあって始めてこの世に産まれることができ、今現在も沢山の支えの中で生きています。人を殺めるということはこの御縁を身勝手に断ち切る行為であり、改めて言うまでもなく人を殺めるということはあってはならないことです。

 

しかし、私達人間は動物や植物などの生命を殺して食べなければ生きてはいけません。

お釈迦様は精進料理(肉、魚などを用いない食事)のみを食し、それ以外は口にしてはいけないと説かれたのではなく、私達人間のために差し出された、すべてのいのちに対して感謝の気持ちを持って頂かなければならないとお示しくださっています。

私達は他の命の存在に「生かされている」という感謝の気持ちを持つことが大切です。

その生かされている命を一生懸命生きることが、食糧としていただいた他のいのちを生かすことになります。

つまり不殺生戒という戒律は上記で述べた「人の命を奪ってはいけない」というだけでなく、「自分を支えてくれる、すべてのいのち(御縁)に対して感謝を生きる」と教えになります。

今こうして生きている私の命は、自分の力だけで生きているのではなく、多くのいのちの支えのおかげであると言うことができます。

 

最後にこれからお盆を迎えます。

故人が亡くなっても故人との思い出は私達の心の中に残ります。お盆に法事やお墓詣りをすることで、故人や先祖を思い出し供養することが出来ます。

故人との思い出を大切するということは、亡き人を忘れない(殺さない)ということでもあり、これも不殺生戒の教えを守るといってもいいのではないでしょうか。