旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

出逢い

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こんにちは、哲真です。

 

私が前回書かせていただいた時は、オリンピック開幕直前でした。時が経つのは早いもので十月になりました。この時期になると、刺激すると強烈な匂いを発する虫が多く出現しますので、常に足元や行く先の状況を確認する毎日です。

 

皆様は朝ドラを見ていますか。実は今の朝ドラの舞台である登米は私がいるところでもあります。そろそろ終わりに近づいてきており、今は気仙沼での話です。その為、私は毎日欠かさず視聴させていただいております。

 

その朝ドラでは、気象予報士になり活躍するというものが主な内容なのですが、そこで空と海と山はつながっていることがテーマになっていたようです。水がそれらをつなぐキーワードなのでしょうが、空も海も山もどれが欠けても今の自然は成り立たないのだと思います。

 

以前、大勢の子どもたちに簡単な絵を描くお手伝いをさせていただいたことがあります。全て葉っぱの絵を描いてもらったのですが、一つとして同じものはなく、緑の力いっぱいの葉っぱであったり、カラフルな葉っぱ、紅葉の葉っぱ、またシソの葉を描いていた子もおりました。

 

その葉っぱであっても、木になり、そして落ち葉となり、その土地の栄養になり、他の植物を大きくさせるという循環があります。全ては繋がっています。その一つが欠けたり、淀んでしまってはまったく違う物になってしまいます。

 

今の私も同じで、今の状況を作り上げたのが人々との出逢いでありました。様々な方々に助けられ、そしてお寺に僧侶としていさせていただけるのも出逢いがあったからです。一つでも欠けては今の私は存在していないと思います。また、善き方々に出逢えたということは私の幸運な事でした。

 

お寺の法話などに参加された事がある方はご存知かもしれませんが、始まる前に開経偈という偈文をお唱えします。

 

無上甚深微妙法(むじょうじんじんみみょうほう)

百千万劫難遭遇(ひゃくせんまんごうなんそうぐう)

我今見聞得受持(がこんけんもんとくじゅじ)

願解如来真実義(がんげにょらいしんじつぎ)

意味としては

あまりにも深淵で、きめ細やかな教えは

永い永い時をへても巡り会うことは難しい

いま私はお経を見、聞き、教えを拝受することが出来ました

願わくはみ仏さまの、真実の教えを理解させてください

となります。

 

正しい教えや、善き人との出逢いは永い永い時をへても巡り会うことは難しいのです。開経偈でいっているのは仏さまの教えに関してですが、この世の中で起こるすべての出逢いも同じことです。

 

この秋、あなたにとっての大事な出逢いを思い出し、そのご縁に感謝する時間を作ってみてはいかがでしょうか。