旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

今年唯一行った旅のような旅でないような話

こんにちは。向月です。

いよいよ年の瀬。あと1週間で大晦日です。

今年を振り返ると、大変なことばかりでした。

年明けから始まった第一波、やっと乗り越えたかと思えばすぐに二波、

三波と押し寄せてきました。医療現場の方々は、

大変な苦労だったと思います。

世界中で緊急事態宣言が出され、街では人の姿がなくなりました。

沢山の規制の中、皆さんも本当にストレスのたまる1年だったことでしょう。

 

このブログも『旅する禅僧』というタイトルの通り、

メンバーが旅してきたことやその途中で考えたこと。

また日常生活の中で感じる旅への思い。旅から見た仏教、

仏教から見た旅の話などを書いております。

規制の多い中で旅にでれず、みんな何を書いたら良いかと悩んでおりました。

それでも、毎週欠かさずブログを更新してくれたメンバーにも感謝しております。

 

 

私も今年は旅らしい旅はできなかったのですが、

唯一それらしいことと言えば岡山と香川に行ったことです。

10月のはじめに行った、半分仕事のような旅でした。

その途中、岡山県倉敷市玉島にある円通寺というお寺に立ち寄りました。

このお寺は曹洞宗の禅僧、良寛さん(1758年~1831年)ゆかりのお寺です。

望む小高い丘の上に有り、瀬戸内海を望むように静かに建っています。

 

 

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良寛さんは「子供の純粋な心こそが真の仏法」と言われ、

子供たちとよく遊ばれていたようです。

また、教養のある大人たちとは和歌や詩などを交わす

文化人の一面ももたれていました。

そんな良寛さんの最期の一句は

 

「裏を見せ 表を見せて 散る紅葉」

 

と言われています。

人間は良い面(表)と悪い面(裏)があるけど、

人生では結局全部見せながら生きていく(死んでいく)

と言うような意味にとれます。

 

人間も自然の一部。ありのままで生きていくしかないと

言われているように思います。

この句はこの円通寺で詠まれたものではありませんが、

瀬戸内の海を眺めながら修行された良寛さんの飾り気のない、

暖かい人柄を表しているように感じます。

私も良寛さんに習って瀬戸内海を眺めながら一句詠んでみようと

思案したのですが、さすがに思いつきませんでした。

もう少し長旅ができるようになったら、ゆっくり考えて

渾身の一句を詠みたいものです。

 

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円通寺の建つ丘から眺めた瀬戸内海)

 

 

さて、「旅する禅僧」も来週の投稿が年内最後となります。

大変な1年でしたが、ご愛読いただいた皆様には大変感謝しております。

旅するメンバー一同、今後も精進していきたいと思いますので

これからもぞうぞよろしくお願い致します。