旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

一期一会

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無防備な昼寝


こんばんは、禅信です。

 

毎日夕方に散歩に出かけますが、18時にお寺の鐘を鳴らしてから

犬を連れて走り出すと橋を超えて10分ほど経つ頃には空も薄暗くなり

雷雲と共に風が運ぶ雨の匂いに夏の終わりを感じる時節となりました。

 

 

今年もうだるような暑さが連日続き、日中は外に

出るのも躊躇するような夏でしたが、

8月のお盆には提灯片手に沢山の人たちがお墓参りをされてました。

 

 

今年は例年とは違い、お盆の棚経も初盆を迎えるお檀家さんの家だけ

お参りさせていただいたので、私も13日の昼間は時間があり

衣を着てお墓を回って読経を務めた後に、

提灯をもってお迎えに行ってまいりました。

 

 

恥ずかしいことですが、お寺に住んでいながら忙しさにかまかけて

お盆様のお迎えは里帰りをした叔母や兄弟に任せていた為に

思い返せば小学生の時依頼行っておりませんでした。

 

お寺の歴代住職のお墓、お祖母ちゃん達のお墓、お殿様のお墓、と順に周り

お花、お線香を供え手を合わせます。

 

 

提灯を持って帰ろうとすると、

 

「お盆にお墓で会うなんて珍しいなぁ!

うちの息子は東京だからことしはかえってこれねぇんだよぉ」

 

同級生のお父さんから声をかけられました。

その時は世間話をして別れたのですが、

 

 

棚経で初盆のお宅にお伺いした際にも皆さん口々に

「今年は親戚のひとはこれなくってねぇ」

「今年は子供には帰ってくるなよぉって言ったんだ」

と、寂しそうに話していました。

 

 

 

お盆休みを使って里帰りをする人、またそれを楽しみに待つ家族にも

今年はつらい決断せざるを得ない環境であったことは確かです。

 

 

私は年に一度、2月に鳥取のお寺で開催される摂心会(坐禅修行)に

随喜して、参加者の皆さんと坐禅、食事、読経を3日間修行します。

 

夜の坐禅の後、住職さんの部屋に行き一日の疲れを労いながら雑談を

楽しんでいる中で、

 

「一年に一度、あと何年続くかわからない、あと何回会えるかわからない、

 毎回とても楽しみであり、毎回寂しく、毎回真剣に勤めたい」

 

そんな言葉を言われたことを思い出しました。

 

 

大切な家族、友人、一つ一つの再会を大切にそう感じたお盆でもありました。