旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

自分だけがよければよいという考えを捨てる 

こんにちは。拓光です。年度が切り替わり、皆さんどのようにしてお過ごしでしょうか。

 

前回のブログを投稿してから約2ヶ月が経過致しましたが、私だけではなく世界中がコロナウイルスによって生活が一変したのではないでしょうか。

連日テレビではコロナウイルスに対しての政府、行政の対応、感染者数の増加などの情報を報じています。

 

先週には行政から各地で緊急事態宣言が発令され、学校等の休校が延期となり、人が集まる行事やイベントの中止、延期などの自粛要請。不要不急な外出は極力控えなければならないという前例のない事態になりました。

 

特に私が衝撃を受けたのが、コロナウイルスの感染拡大に伴い品薄状態となっているマスクがインターネット上で高額で転売されていることです。

自分さえ感染しなければよい、自分だけが儲かればよいという思いから、必要以上の買い占めをしたり、最初から他人に転売するために大量に買い占めるといったことが多々起きています。

 

世間で騒がれるようになり始めてから、ここまでの事態になるとは誰にも想像出来なかったと思います。

皆さんもこのような状況になり、様々なことを考えられたと思います。コロナウイルスに感染しない為にはどのような予防や対策をしたらいいのだろうか。

緊急事態宣言が発令されたことによって、仕事や日々の生活はどう過ごせばいいのか。もし感染した場合にはどうしたらいいのだろうか。様々な憶測や不安が広がっているかと思います。

実際、私もこのような時に僧侶としてどのような行動をとるべきなのか、何が出来るのかを考えました。

 

 

曹洞宗の経典である修証義というお経の中に「利行」という教えがあります。この「利行」とは他者もしくは周りのためになる行いをするということです。 簡単に言いますと自分のことを第一に考えるのではなくて他者のことを思いやり善い行いをする。それが巡り巡って自分自身の救いになるという教えです。

 

この教えを頭では理解していても、それをいざ実際に行動に移すとなると非常に困難なことであると実感します。

なぜならば自分の幸せを後回しにして他者のために尽力するということがとても難しいことだからです。ましてや他者の為に行ったことが直接的に自分の幸せに繋がらなければなおさらのことです。

このように「利行」を実践することが大切だと分かってはいても自己中心的な考え方になりがちになってしまうのは私達には自我があるからです。

しかし当たり前のことですが私達人間は一人では生きていくことが出来ません。

人と人とが支えあっていくことで私達は生きていくことが出来ます。 私達がもし自己中心的な考え方ばかりをしていたら社会はどうなるでしょうか。今現在、自分さえよければよいとマスクを買い占める人がいるように身勝手な考えが広まって殺伐とした社会になるかと思います。

曹洞宗の教えを広められた道元禅師様は「利行は一法なり普く自他を利するなり」という教えを私達にお示しになられました。この教えはすべての人に思いやりの心をもって接しなさいということです。 今まさにウイルス感染を終息させるためには、お互いに思いやりの心をもって支えていく「利行」の実践が必要なのではないでしょうか。今一度自分の心の中にある思いやりの気持ちを思い出して下さい。そうすれば自ずと終息の方向へと向かっていくと思います。

 

人は大変な場面に接したときにどのように考え、どのように行動するかが大切なのだと思います。このような時だからこそ何ができるのか。日頃できない、読書や趣味、自己研鑽に時間を使うことも一つでしょう。普段行き届かないところの掃除をしてみることもいいでしょう。見方、視点を変えると普段、気付くことのできなかったことに気付きを得られるかもしれません。もし菩提寺が徒歩で行けるくらい近くにあるのならば、少人数でお参りに行って外の空気を吸うのも良いでしょう。せっかくの与えられた時間をどのように過ごすか。是非とも有意義な時間になるように過ごしてみてはいかがでしょうか。

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