旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

花まつりとサクラ

 こんにちは尚真です。今、新型コロナウィルスによる影響で、世界中で多くの感染者が出ています。昨日には遂に、緊急事態宣言が発表されました。今回の新型コロナウィルスの蔓延は終わりの見えないという面があり、日々不安に感じながら生活しています。

 

 私の家庭でもうがい手洗いをマメに行い、3つの密「密閉」、「密集」、「密接」と不要不急の外出を避たりと、感染予防に十分に留意して生活しています。週末及び夜間の外出の自粛や、学校の休校、それに在宅勤務の推奨等がされおり、日常の生活スタイルとは異なる生活が続く方も多いと思います。ストレスの影響なども有ってか身心共にさまざまな健康不安を抱えての生活を余儀なくされている事と思います。

 

 そんな今だからこそ、少し明るい話題を。今日は4月8日です。4月8日と言えばお釈迦様のお生まれになった「花まつり」の日です。私たち僧侶も、例年であれば、「降誕会」と言って特別な法要をして、お釈迦様の誕生日をお祝いします。

 

 お釈迦様はお生まれになってすぐに七歩歩いて、右手は天を左手は地を指差し、「天上天下唯我独尊」と仰ったと言われています。そしてこの時にお釈迦様の誕生を祝った竜王が甘露の雨を降らせたとも伝えられています。

 

 そこで「花まつり」の日には、お釈迦様がお生まれになった花園を模した、「花御堂」と呼ばれるお花で飾られた小さなお堂の中に、お釈迦様が天と地を指差した様子を表したお姿を置き、甘茶をかけてお参りをします。

 

 私が副住職を務めているお寺にはシダレザクラの古木があり、例年はちょうどこの季節に見ごろを迎えます。サクラのお花見に来る方の為に毎年この「花御堂」をお飾りして、皆さんと一緒にお釈迦様のお誕生日をお祝いしています(今年はコロナウィルスの感染拡大に伴い自粛しました)。

 

 このシダレザクラは私が子どものころは枝振りがとても立派で、毎年きれいな花を咲かせてくれていました。花の時期には多くの見物客が訪れる程でしたが、近年はサクラの木も老朽化が進み、根が部分的に腐ってしまった影響で枝もピーク時の半分以上は枯れてしまいました。

 

 枯れ枝が落ちて参拝客の方に怪我をさせてはいけないので枯れ枝は切り落とし、根が腐ってしまったので巨大なつっかえ棒をして樹が倒れるのを防いでいます。その姿はここ数年で大きく変わってしまい、私たち家族や檀家さんは寂しい気持ちがしています。

 

 それでも今年も、少ないながらも頑張って花を咲かせてくれたので、心配していた私はとても安心しました。今年は開花が早く、春のお彼岸中に開花したので、お墓参りのお檀家さんもとても喜んでいました。樹木と言っても生き物ですので、生命の力強さを感じる事が出来ました。

 

 私たちも今大変な危機に直面していますが、このような時、私達一人一人が出来る事は残念ながら限られます。自分には何が出来るのか、何が正しい行動なのかを、各個人で考えて行動する事が求められています。この苦しい時期を皆で協力し合って乗り越えていきましょう!!

 

 

 

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今年もキレイに咲きました