旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

隣人、中国について

 皆さんこんにちは尚真です。今年は暖冬と言う事もあってもうすぐそこまで春が来ているような暖かい日が続いています。例年ですとインフルエンザが流行っているなんてニュースが世を騒がす時期ですが、今年はインフルエンザの発生が例年に比べて少ないそうです。その理由として挙げられるのは、中国を始め各国で猛威を振るう新型コロナウイルスの予防対策のお陰だそうです。

 

 新型肺炎であるコロナウイルスは、発生源となった中国を中心に、感染者数は4万人を超え、死亡者数は千人以上となっています。犠牲になった方々のご冥福をお祈りすると共に、早期の感染者の方の回復と混乱の収束を祈るばかりです。

 

 コロナウイルスの発症が確認された当初は対岸の火事の様な報道のされ方でしたが、感染が拡大するにつれて日増しにTVやネットで多くの報道がされています。報道が過熱するのに合わせてマスクや消毒液のまとめ買いなども起こり、私たちの生活にも大きな影響を及ぼしています。 

 

 そんな大変な事になっている中国ですが、私の妻は数年前まで中国の上海に住んでいました。三年間暮らしていたので、現地には日本人・中国人問わず多くの友人がいるとの事です。SNSの発展している現代では、遠く離れても近況を知ることが出来、現地の最新の情報も友人を通して知ることが出来ています。

 

 つい先日、妻が上海の友人のSNSの投稿を見せてくれました。感染源とされる武漢から遠く離れた上海でも外出禁止令が出ていて、街は誰一人として歩いていません。私も上海に行きましたが、普段の上海の人の多さと言ったら東京とは比べ物にならない程です。そもそも中国の人口は日本の約10倍ですから基本的に人が多いのですが、大都市で誰一人外を歩いていない状況は、日本ではなかなか有り得ない事では無いでしょうか。

 

 中国人に対して、日本に来て爆買いしたり、観光地へ大挙してやってきて迷惑を掛けたりするといった、普段報道で目にするようなネガティブなイメージを持つ方もいるかと思います。しかし今回の新型肺炎による中国人観光客の減少の影響で、日本国内でも、売り上げが大幅に減少した百貨店や、客足が遠のいてしまった観光地の商店や宿泊施設が存在しているのも事実です。

 

 我々の住む日本は島国、対する中国は大陸の国ですからやはり考え方などが異なり相容れない部分も当然あると思います。私たちが守り伝えていく仏様の教えも中国経由で日本に伝わっていますし、中国は歴史的にも、現代においてもやはり密接な関係のある大切な隣国です。

 

 私たちがお檀家さんのご法事や施食会などのご先祖供養の際にお唱えする「修証義」というお経の中に「同事」と言う言葉が出てきます。これは私たちが、皆さんをお救いする菩薩となるためにするべき、4つの行いの一つとされています。「同事」とは自分もそれ以外の人も、同じように分け隔て無く考えるという事だと私は捉えています。

 

 その為には相手の事を正しく理解、認識することが必要だと思います。妻が言うには、中国人は良く言えば面倒見が良く、おせっかいな人が多いそうです。若者はお年寄りや子どもにとても親切で、地下鉄などでも必ず席を譲ったりするそうです。また困っている人には周囲の人みんなで声をかけて助けてくれるそうです。

 

 また意外な事に、日本より中国の方がスマホの普及率は高く、都市部に限っては90%以上のスマホ普及率で、キャッシュレス決済もほとんどのお店で対応しているそうです。そのような意外な一面も中国にはあるようです。相手の事を知れば知るほど親近感が湧いてくると言うのは、普段の生活の中でもある事だと思います。先入観や固定概念に囚われずに、共に寄り添っていければ良いと思います。

 

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上海の静安寺(ジンアンスー)は三国志孫権の命で建てられました