旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

今この食を受く

こんにちは!
雪予報が出ている関東では
降っている所もあれば、外れて雨でとまっている
地域がありますが、今のところ西麻布は
雨で落ち着いております*
光彬です。よろしくお願いいたしますm(__)m

さて、令和二年になり初の投稿でなんだか
久しぶりな気持ちです*
といっても、年が明けてもうすぐ一月が
終わろうとしていて驚きを隠せません(笑)


只今修行道場の食事を司る典座寮というところにいる私は、年末年始お餅をついたりおせち料理を作ったりと
バタバタしておりました。
特にお餅なんかは、お寺のあらゆるところに飾りますから
合計で約100キロ近いお餅を、餅米を蒸してこねて形成して、、、と気が遠くなるような修行をさせて頂きました。

飾ったお餅は三箇日が終わると回収し、小さく切って
朝のお粥に入れたり、揚げて揚げ餅にしたりして
みなさんに食べて頂くわけですが、
どうしても湿気などでカビが出てきてしまいます(*_*)

カビてしまったところはもう人には出せませんから
処分せざるをえないのですが、
横着な性格の私はカビの部分だけでなく
少し大きく切って処分してしまっていました。
それを、御指導頂いている典座和尚さんから
ご注意を賜ることがありました。
「どうしてもう少しカビの部分だけを取り上げて切らないのか、食べられるところは頂かないと、それは命を生かしきっていないのでは?」と。
餅だけではありません。以前も、私は
鍋にくっついた米やおかずの具を、キレイに取らずに
洗ってしまい食べられなくしてしまったことがありました。
その時から全く成長していないなと、自己嫌悪になりましたが、お昼の食事を頂く時には我々は
このように頂きます。

ご飯粒を七粒ほど手に取り加持(かじ)(仏の功徳を祈り込める作法)し、生飯(さば)の偈という短い経を唱えます。

汝等鬼神衆(じてんきじんしゅう)
あなたたち鬼神たちよ
我今施汝供(ごきんすじきゅう)
私は今あなたたちに施し供えます
此食遍十方(すじへんじほう)
この食事の一欠片は十方全てにあまねく行き渡り
一切鬼神衆(いしきじんきゅう)
一切の鬼神たちすらも、共に恵まれんことを願います

この七粒ほどのお米は写真のような生飯台(さばだい)というところに持っていかれて、鳥や虫が食べれるように置いておきます。
私たちは他の命を頂いて今日の命を生きています。ですから、感謝の気持ちを以て他の命にも分け与え共存しなくてはなりません。

日本の年間食品ロス(まだ食べられるけど賞味期限等の理由で廃棄される食糧)量は643万tだそうです。
食べらるだけ頂き、またその中から少しでも他に施す気持ちを一人一人が持つことで、失われるはずだった命を守れるかもしれません。
私を含め、たくさんの方にそういった気持ちで目の前の美味しい食事に手をつけて頂けたら幸いです*

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