旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

正月ですね

皆さん、明けましておめでとうございます!!
この一年も皆様にとって素敵な一年になりますようお祈りしております。

昨年は、沢山のご縁をいただき色んな場所で法要や坐禅会など参加させていただきました。本当にありがたいことです。

今年は、2020年、令和2年。

オリンピック、パラリンピックなど大きな行事が多くありますね。

楽しい一年になればと思っています。

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(写真は師寮寺の正月飾り、蓬莱三宝です)

さて、正月にゆかりのある句を一つ紹介します。

 

「正月は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」

 

この句は有名なのでご存じの方も多いことでしょう。

頓智で有名な一休さんこと一休宗純禅師(1394年~1481年)の詠んだものと言われています。お正月にこの句を口ずさみながら竹竿の先端に骸骨をつけて街中を練り歩いたと言われています。

 

 

お葬儀の時に「今日元気だからと言って、明日も元気である保証はない。風邪をひいたりするかもしれない。思わぬところで怪我をするかもしれない。同じように今日生きているからと言って、明日も生きている保証はない」という話をさせていただきます。

人はいつ死ぬ時が来るかわかりません。明日も生きていられるように今日この時を一生懸命生きなくてはいけないのです。

 

お正月のおめでたい日に改めて「死」について考えました。

一休禅師の句はお正月に限らず、このことを「忘れず生きて行けよ」というメッセージのように感じます。

 

 

 

この記事を書いたのは昨年末でした。この記事を書いた翌日、私が修行時代に大変お世話になった老師がご遷化(お亡くなり)されました。

老師の部屋には本が山積みになっており、いつも何かを書かれておりました。またご高齢ながら私たち修行僧と一緒に朝の坐禅を座られておりました。学業も修行もそのお姿でお示しいただいたと感じております。

思い出すのは、老師のお世話についていた時「生きているのは稀有なこと」と言われたことです。

「朝目が覚めるのも、稀有。ご飯を食べられるのも、稀有。人に出会うのも、稀有。貴方と出会えたことに感謝してますよ。」

せき込みながらこのように言われました。とても暖かいお言葉でした。

また、人はいつか死ぬ時がくるということを改めて身をもって示されているように思います。

老師がいる間に修行ができたことを有難く思っています。

感謝の気持ちをこめて、ここに記させていただきます。

向月慈隆 九拝