旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

なぜGが怖いのか?

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こんにちは、慧州です。9月に入ったにも関わらず、相変わらず暑いですね。

 

突然ですが、皆さんは題名のGが何か分かりますか?おそらく多くの方が嫌いであろう、ゴキブリ(以下、G)のことです。今日はこのGについて少し考えたいと思います。もし不快な思いをなされる方がいれば、ごめんなさい。もしよかったらお付き合いください。尚、この記事に写真は載っていないので苦手な方もご安心ください。

 

先日関東に台風が直撃しましたが、私がいるお寺の境内も荒れ放題になりました。そこで朝から箒で外を掃いていたのですが、突然ゴミ箱裏から黒い物体が二体出てきました。

 

そうです、Gです。それはおそらく大きい雄と小さい雌と思われるつがいのGで、散り散りに逃げていきました。思わずのけぞった私はその場を離れ、しばらくゴミ箱には近寄りたくありませんでした。こんな経験、皆さんも一度はあるのではないでしょうか?

 

正直言って、幼い頃から私はGが苦手です。あの黒光りした体で素早く走り去る姿は恐怖でしかありません。私の家族もGが嫌いで、家の中で見つけるとすぐに叫んで助けを求めてきます。そんなときは不殺生を掲げる僧侶でありながら、殺虫剤で殺してしまいます。

 

ですが、よくよく考えてみるとなぜこんなにGが怖いのかよく分かりません。似たような色をしているカブトムシはかっこいいのに、Gは気持ち悪いと感じてしまうのはなぜでしょうか?まるで親の敵のように追い立ててしまうのはなぜでしょうか?

 

ここで少し視点を変えてみて、想像してみてください。もしあなたがGだったら。

 

例えば、部屋にいて食べ物を探していた時。突然電気がつき、自分よりも何十倍も大きな人間に大声を出され、丸めた新聞紙や殺虫剤を片手に襲ってくる光景は、まさに地獄でしかないでしょう。

 

ある研究によれば、Gは人類が生まれる20万年前よりはるか昔、3億年前にこの地球に誕生したと言われています。しかも、誕生した当初から既に完成体ともいえる形で、ほぼ姿を変えることなく今まで生き延びています。その生命力はすさまじく、水だけで約3ヶ月生き延びることができ、放射能にも耐性があります。

 

私はどんな環境であろうとも生き延びることができるGは素直に凄いと思いました。そして、だからこそ私たちは本能的にGを脅威に感じるのかもしれません。

 

Gを恐れて嫌うことは自然な感情であり、家の中で見つけてしまえば殺さない選択はできないかもしれません。ただそれでも、少なくとも外では

「あいつらだって必死に生きているんだなぁ」

と感じる余裕を持てたら、とても素敵なことでないかと私は思います。