旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

施食会法要を終えて

 皆さんこんにちは尚真です。年によって猛暑の年、冷夏の年とありますが、例年お盆を過ぎると風に少し涼しさを覚え、暑さが一段落するのは不思議なものです。今年は特に暑い夏でしたが、なんとか暑さのピークを乗り切る事が出来ました。

 

 多くのお寺では毎年お盆の時期に合わせて施食会法要が行われます。お檀家の皆さんがお寺に集まり、ご先祖様のご供養と共に、餓鬼道で苦しむ衆生、そして一切の諸精霊に食べ物をお供えして供養するという法要です。

 

 先日、私共のお寺でも施食会法要が執り行われました。丁度台風が関東地方に接近している時期でしたので天候が心配されましたが、法要の当日はなんとか天候は回復し、多くの檀家さんに参加して頂くことが出来ました。

 

 法要の後は、お寺から昼食を振舞います。折角お檀家さんが皆さん集まる貴重な機会ですので、共に食事の場を持つことによって、住職を中心として檀家さん同士での交流や意見交換などの場として頂いています。

 

 私共からお檀家さんにお食事を振舞う機会はそう多くありませんので、皆さんに喜んでいただけるよう内容や量など考えて準備しています。しかしお檀家さんの高齢化、夏の暑さのせいで食欲が落ちてなかなか箸の進まない方もいらっしゃいます。

 

ですが施食会法要で餓鬼道に苦しむ衆生を供養した直後の食事です。そんな中で我々が食べ物を無駄にしてしまうのは、折角の供養の功徳が無駄になってしまうような気持ちです。なるべく残さず召し上がって頂けるよう、毎年試行錯誤して食事の準備をしています。

 

 ここ数年、節分の恵方巻きやクリスマスケーキなどの食品廃棄の問題をニュースで目にする機会が増えてきました。節分の恵方巻きは関西地方では昔からある風習のようですが、関東在住の私としてはここ十数年のうちに知名度を得て、一気に広まった気がします。

 

 クリスマスや節分の際は、各社一斉に関連商品を売り出します。各社ともに需要量を想定し、ロスの出ないように生産量を調整している事でしょう。しかしそれでも目を覆いたくなる位の食品廃棄物がでてしまいます。ニュース映像で、道路工事で使うような重機で食べ物を処分する様子を初めて見たときは本当にショッキングでした。

 

 イエス・キリストは自分の誕生日にあれだけ大量のケーキと七面鳥が処分される未来が来ると想像していたでしょうか。俗にいう「縁起をかつぐ」ために、どこかで大量の太巻きが処分されていることを我々は知る必要があると思います。

 

 私一人ではクリスマスケーキや恵方巻き等の食品ロス問題を解決する力はありません。しかし出来ない理由を考えるのは簡単です。日々の生活の中で私に出来ることを一つずつ実践して行く事が、それが私達一人一人の施食の供養にもなるのではないでしょうか。

 

 暑さ寒さも彼岸までと言います。暑さも落ち着いてきたらそろそろ登山を再開しようと思う今日この頃です。皆様も残暑にはお気を付け下さい。

 

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残暑お見舞い申し上げます