旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

此処にある心

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みなさんこんにちは!
光彬ですm(__)m
お盆いかがお過ごしでしょうか??
山梨では雨が降ったり晴れたりと、
棚経で歩き回る私にとっては大変なお天気でした(;_;)

昨日(13日)の話です
例年通りお盆の棚経に回っていました。
お檀家さんはどなたも
暑いなかで汗をかいている私を迎えてくれて
一緒にご供養をさせて頂きました。

そんな中、いつもかわいい女の子のお孫さんがいる
お宅の番になり、お邪魔しました。
「お坊さんこんにちは!!また来てくれた!」と
大きな声で迎えてくれました*
手を繋いで、ご先祖様を祀っている部屋へ
一緒に行きました。そうしますと、
少し驚く光景が目に入りました。

たくさんの三ツ矢サイダーの缶と、チョコマシュマロ、
お魚の煎餅に、お餅がお供えされていました。
きゅうり馬と、ナス牛はありましたが、
水の子や和菓子、霊膳などはありませんでした。

すると、その女の子のお祖母さんが
申し訳なさそうに私に、「方丈さんすいません、この子がどうしてもこれをあげたいって聞かなくて、ほとんど支度をしてしまったんです、、これは間違った飾り付けですよね?」と。
その言葉を遮るように、女の子が、「間違ってないもん!去年お坊さんが、好きだったものお供えするのが良いって言ってたもん!」と言いました。


棚にはお祖父さんの写真とお位牌が飾られていました。
この方は、去年の夏に新盆を迎え、ご供養をさせて頂いた方でした。去年の飾り付けには、水の子も和菓子も、霊膳もありましたが、その時にその女の子がぽつりと言いました。「好きなものは食べられないの?」
私は、おじいちゃんが好きだったものを、お供えしてあげても大丈夫だよ、と言いました。

その事を覚えていて、今年は好きだったものを
お供えしてくれたようです。
特に、おじいちゃんが好きだったものと、
女の子がおじいちゃんと一緒に食べたものを
お供えしてくれたとのことでした。


「泥仏水を渡らず」という言葉があります。
粘土で作った仏様の象は、大変尊く、正しい信仰に導いてくれるものかもしれません。ですが、
水の上を越えることはできません。ましてや、いつかは乾ききって壊れてしまいます。
形にこだわり、執着するのではなく、
本当に大切なものに目を向けましょう。という事です。


普段置いてある飾りがないことで
違和感を感じてしまった私は
形にこだわり本当のご供養というものを
見失っていました。


お経が終わり、お疲れ様でしたと言うと、
女の子は満面の笑みで、
「おじいちゃん全部食べてね!」と言いました。
住職をさせて頂いている身ですが、
今年はこの女の子に勉強させて頂きました*

地方は16日までお盆が続きます*
このお話によって、
みなさんには心穏やかに、納得のいくご供養を
していただけたらと存じます*
夏も折り返しにきています。
どうか身心共にご自愛ください!