旅する禅僧

より多くの方々に仏教をお伝えし、日常の仏教を表現していきます

登る禅僧その3 ~言葉一つで~

 みなさんこんにちは尚真です。花粉の季節となりましたがみなさん花粉症は平気でしょうか?ここ最近は特別編が続いておりましたが、今回からまた登る禅僧通常版をお届けしたいと思います。今回は、いえ今回も地元茨城の御岩山という山に登った時のお話です。

  

  御岩山は茨城県の北部、日立市にあります。日立市は「Inspire the Next」で御馴染みの家電メーカーHITACHI創業の地でもあります。そんな日立市にある御岩山は麓にパワースポットとして有名な御岩神社と言う神社があるとの事。 何やら噂では、「宇宙飛行士の向井さんが宇宙から光の柱を見た」とか。どんなところなのか以前から興味がありました。

 

  御岩山までは車で高速道路を使い1時間ほど。いざ着いてみると「常陸最古の霊山」との立派な看板があります。この日は天気も良く、また日曜日という事もあり、参拝のお客さんで非常に込み合っていました。

 

 御岩神社は日本で唯一神様と仏様をお祀りしいている神社という事で、多くの神様の中に混ざり、大日如来様、阿弥陀如来様をお祀りしているお社がありました。道中の安全を祈願して境内を抜けて登山道へと向かいます。

 

 事前にインターネットで下調べした所、割としっかりした山道なのでしっかりした装備で来るようにとの記載があったので私たちはいつもの軽登山スタイルで挑みましたが、神社にお参りにきてそのまま山に迷い込んでしまったような恰好の人が割と多く歩いていました。

 

 いかにも滑りやすそうな凸凹な山道を、サンダルにスカートのような軽装の人達と歩くのは、なんだかこちらがハラハラして心配になってしまいます。山の木々に囲まれ清々しい気分を感じつつも、なんだか普段の山とは違う妙な違和感を覚えながら山頂まで辿り着きました。

 

 すると頂上にはガイドさんと思しき人がいました。そのガイドさん曰く「テレビの影響で、迷惑なお客さんが増えている。なので迷惑行為が無い様に監視活動をしている」とのことでした。それは軽い気持ちで山を訪れる人を迷惑がっているような口ぶりでした。

 

 彼は山を守るために善意で監視活動をしています。また注意喚起をする事で登山客の安全も守られている事でしょう。ただあまりに迷惑そうな口振りだったので少し残念な気持ちになり、私たちは早々に下山して来てしまいました。

 

 下山の道中、私は修行時代にお世話になった人の言葉を思い出していました。「言葉一つで良い因縁にも悪い因縁にもなってしまう。悪い因縁を生まないよう、言葉には気を付けなさい。」と当時は口が悪かった私にその方は教えてくださいました。

 

 言葉一つで良い方向にも悪い方向にも伝わってしまう事はよくある事だと思います。私達僧侶はもちろんですが、皆さんも仕事場や家庭で人に大事な事を伝えたり、何か教えたりする機会はあると思います。そんな時は相手に対して良い因縁を生むような、良い結果を残すような言葉を選んでお話して頂ければと思います。私も十分気を付けようと思ったそんな出来事でした。